「矯正歯科治療契約書」に関する説明−4

【料金について】

  • 「料金について」は、既にお使いの「料金についての項目名」に変更して使っても構いません。但し、その際には、下記に記載する内容に準じてお使いください 
  1. 「基本料金」は、「基本施術料」等、表記名(名目)の違いがあったとしても、総治療費内、他の名目に比べて高額になる金額を示す項目です。
  2. 基本料金の金額は「見込み金額」と表記しますので、見込み金額から変更になる場合には、再度、簡単な確認書を患者さん、保護者との間で交わしてください。
  3. 「装置料金」を別に示す場合には、実勢装置料金の200%を超える部分は、装置料金としての対象にはならない場合がありますので、装置料金は基本料金に含むことを推奨します。なお、装置料金等の項目を別に設定する場合、結果として基本料金を低く設定し、装置料金等を高く設定して精算時の精算金額を低くすることは消費者契約法上認められない可能性がありますのでご注意ください。
  4. 基本料金、処置・観察・診察料金、保定料金に含まれないその他の治療費の設定がある場合には、その明細を契約時に患者さんに呈示し、「その他の料金」欄に記載してください。(例:指導(ブラッシング、MFT、摂食)、他の医療機関への依頼事項、自院で行う抜歯、歯科矯正用アンカースクリュー、TAD、保険外の外科的処置、保定装置、投薬、予防処置、治療途中・終了時のレントゲン等の資料採得、予約のキャンセル等に関する料金)
  5. 金額は全て税込金額で表示してください。治療契約書に記載される全ての料金に関する税率は、初診もしくは診断時点での税率で金額を表記してください。
  6. 消費税率改定があった場合には、その後の支払いに関しては支払い時点での消費税率を適用してください。

 
【治療に関する説明、及び、セカンドオピニオン(他の歯科医師への求意見)について】

  1. 治療中の患者さんには、当日の治療中、治療後に、当日の治療の概要、前回診療日との変化、治療上注意すべき事柄、治療上の指導内容、次回の治療の概要を簡単に説明されることを推奨します。詳しくは、本会HP「セカンドオピニオンに関する当会の見解」をご参照ください。
  2. 毎回繰り返しになる場合もありますが、敢えて繰り返して説明されることを推奨します。
  3. セカンドオピニオンは、通常、「治療開始前に示された治療方針・方法に関して他の専門家の意見を聞いてから決めること」を示しますが、治療を開始した後でも患者さんが望まれた場合には応じられることを推奨します。
  4. 診療情報提供書の作成、カルテやレントゲン写真等の診療記録の白黒印刷(コピーを含む)、カラー印刷(カラーコピーを含む)、CD、DVD等によって、各々金額を明示しておくことを推奨します。金額は市中の実勢価格を参考になさることを推奨します。また、その際に手数料を請求することは構いませんが、社会保険歯科診療報酬点数の診療情報提供料を参考に、2,500〜5,000円を推奨します。

 
【カルテ開示について】

  1. 1.カルテの開示は、個人情報保護法第28条にて患者さんの権利として定められています。以下のような条文です。
    第28条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる。

    2 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
     ① 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合   
     ② 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合 
     ③ 他の法令に違反することとなる場合
  2. 公益社団法人日本矯正歯科学会倫理規程第19条にも示されていますのでご確認ください。
  3. さらに、厚生労働省は2003年11月に「診療情報の提供等に関する指針」で示されていますのでご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15m.html
  4. 医療機関の管理者は診療記録の開示手続等を定めた診療情報の提供に関する規程を整備し、苦情処理体制も含めて、院内掲示を行うなど、患者さんに対しての周知徹底を図らなければならないこととされていますので、予め、規程の整備や開示申請書の整備を行うなどをすることを推奨します。

 
【治療内容の変更】

  1. 治療内容の変更が生じた場合には、担当矯正歯科医師は、変更の理由、変更内容、治療費の増減等について変更される内容を患者さんに十分に説明して、変更内容を記載した書面を作成してください。それは新たに契約書として作り直さなくとも、既存の契約書と関連する確認書でも構いませんが、書面にして患者さんと医療機関の双方で確認し、患者さんの確認署名を貰い保管することを推奨します。
  2. 治療内容に変更が生じた場合に「変更内容を記載した書面」は、できる限りコピーを患者さんにも渡してください。

 
【治療の中止、転医について】

  1. 治療を中止することになった場合には、担当矯正歯科医師は、中止の理由、その後の取り扱いについて患者さんに十分に説明してください。その内容を記載した書面を2部作成して患者さんと医療機関の双方で確認し患者さんの確認署名を貰い、1部を患者さんに渡すことを推奨します。
  2. 治療中止に際して、患者さんに治療中止に伴う「違約金」を請求することは避けてくださることを推奨します。
  3. 前納基本料金を精算返金する場合には、預かった時点での消費税率で計算して精算返金してください。
  4. 支払いの方法・手段が変更になった場合にも簡単な確認書を交わすことを推奨します。

 

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